2007年01月12日

Rainy Day 2

 駅前のマンガ喫茶で夜を明かし、昨夜コンビニで買った菓子パンと缶コーヒーで朝食を済ませた俺は、狭いブースの中で立ち上がり、椅子に寝たため強張った背中を伸ばすと、凝り固まった首をゴリゴリと音を立てながら回す。弛めたネクタイを軽く締めなおし、ハンガーに掛けておいたスーツとコートをはおり、ショルダーバッグを肩に掛ける。そして、ブースを出るとトイレに入り放尿する。洗面台の鏡に映った顔を見ると、雨に濡れてタオルで適当に拭いただけの髪がグシャグシャだ。俺はその髪を水道水で適当に濡らして手ぐしで整えると、受付で金を払ってマンガ喫茶を出た。続きを読む
posted by あき at 17:45| 千葉 ☁| Comment(3) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月08日

Rainy Day 1

 仕事帰りの夜十一時半頃、俺は急に降り出した雨に濡れながら、近くのコンビニに飛び込んだ。濡れた頭や肩の辺りをハンカチで拭い、買い物カゴを手に取ると朝食用のパンやスナック菓子、缶コーヒーなどをそいつに放り込む。ガラス越しに外に目をやると、外は凄い土砂降りになっていた。十二月に入ってから気温もグッと下がって来たし、 この雨に濡れて帰ったら風邪引いちまうか。仕方ねえ、買うか。俺は、一番安いビニ傘も手に取るとレジで清算を済ませて店を出た。
 するとそこを土砂降りの雨でずぶ濡れになった若い女が通りかかった。両腕で肩を抱きながら、 俺の目の前をゆっくりと通り過ぎる。コンビニの明かりが彼女を仄かに照らす。
「おいどうしたんだ?」俺は反射的に声を掛けていた。
 彼女は震える肩を抱きながらゆっくりと振り返った。濡れた前髪を手で払い、正面から俺の目を見つめる。アーモンド形のちょっとつり上がった黒目がちの大きな瞳。雨に濡れた髪がペッタリと顔に張り付き、冷え切った体がガタガタと震えている。唇は血の気を失って紫色だ。まるで濡れそぼった子猫の様にみすぼらしい筈の彼女だが、特徴のあるその瞳だけは挑戦的に輝く。続きを読む
posted by あき at 01:34| 千葉 ☀| Comment(5) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年06月11日

守る者2

このストーリーの続きです。

 それは闇の中に居た。
 月光に照らされた深夜の森の中。月明かりの届かない森の奥の闇に更に黒くわだかまる影。
 その影は、じわじわと、だが確実に凝集し、四足獣らしき形態を取りつつあった。頭部と思われる部分に、暗い洞穴の様な眼窩が開き、徐々に、 だが確実に月光を集め妖しい光を放ち始める。
 不定形な影の様な体に光る二つの眸は、闇に浮かぶ青白い燐光の如き光を発し、その奥に何かの意思を宿らせ始めている様に見えた。
 その獣の如き影は、鼻面らしき部分を中天に掛かった満月に向けると、次の瞬間音も無く掻き消えた。

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posted by あき at 22:19| 千葉 ☔| Comment(3) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2006年04月21日

守る者

ビクッと体を震わせると、女の子は後ろを振り向いた。怯えた目つきで暗い山道をじっと見つめる。ゴーっと音を立てて風が吹きぬけ、 木々の木の葉を揺らす。

「何にも居ないよね?」

女の子は自分を納得させる様に呟くと、小さな手をぎゅっと握り締めて、また山道を麓に向かって歩き出した。

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posted by あき at 20:16| 千葉 ☀| Comment(3) | TrackBack(1) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月06日

処女作(^_^;)

このストーリーは、はるか昔にノートに書いた物をパソコンを買ってすぐの頃に清書したものです。 初めて最後まで書いたストーリーなので、一応処女作ですな。たぶん清書した時に文章を直したと思うけど、まあ何と言うか・・・
何でそんな物を今頃公開するかというと、ネタが無いからです(^_^;)

お暇な方は読んでみて下さい。でも、こんな物を読ませるな!オンドリャ〜(怒) 等の苦情は受け付けませんのであしからずご了承くださいませ・・・

テレフォンカード

1

「川村君、ちょっと来なさい」課長の罵声が飛んだ。
  僕は、パソコンのモニターから顔を上げると、課長の席に視線を向けた。
  ここは、ある中小企業のオフィスだ。営業課のこの部屋には十個ほどの事務机が並んでいたが、 座席は半分ほどしか埋まっていなかった。みんなセールスに走っているのだろう。
 僕は、席を立つと課長の席に向かった。
「君はこんな所で何をしているのかね?」
「は……」
「何をしてるのか聞いているのだ」課長は怒鳴った。
「いや、ちょっと……」
「これを見たまえ」
 課長は、プリンターから打ち出されたグラフを僕の前に差し出した。それはさっきまで僕がパソコンで見ながらため息を吐いていたグラフだ。 もちろん、僕が最下位の営業成績グラフ……。
「君は今月があと何日で終わるか知っているかね」
「あと5日ですが」
「それがわかっていて、なぜこんな所で油を売っているのかね。君は今月のノルマの半分もこなしてないと思ったが、私の勘違いだったかね?」
 僕は、また始まったと内心思った。この課長はいつも嫌味でねちねち僕をいびり回すのだ。
「わかりました。これから外回りに行ってきます」
 僕は、課長の嫌味を途中で遮ると、踵を返し自分の席に向かった。席について資料をかばんに詰めはじめると、 前の席からくすくすと忍び笑いが聞こえてきた。僕が視線を上げると、事務の沢木由紀子が笑っていた。
 彼女は、2年ほどここに勤めているが、高卒で入社して来たのでまだ二十歳過ぎの筈だった。体つきは割と小づくりだが貧弱ではなかった。 十分女らしい体つきだ。黒いストレートヘアーをショートカットに切りそろえた顔も可愛らしい。笑うと左頬に出来るえくぼが魅力的だ。
 僕は彼女が好きだった。好きになって1年以上経つが、いまだにお茶にも誘えない。少なくとも彼女に僕を嫌っている様子は無いのだか、 どうしても誘う勇気が出ないんだ。
 僕は、かばんを持つと席を立った。立ち上りざま彼女の方をチラッと見ると彼女は、にこにこしながら僕の方を見ていた。視線が合う。
 僕は反射的に彼女に声をかけていた。
「あ、あの、沢木さん」
「何、川村さん?」
「あ、あの、えーと、何でもありません、すいません」
 僕は急ぎ足で部屋を出た。
 何て事をしてしまったんだ。あんな訳の分からないことを言ったら、彼女が変に思うに決まってる。何で思い切って誘うことが出来ないんだ。
 僕はビルを出ると、駅に向かって歩き始めた。
 ちくしょう。何でこんなに天気が良いんだ。
 僕は、ぽかぽかと暖かい日差しの中を幸せそうに歩いている奴らに向かって内心で罵詈雑言を浴びせ掛けていた。

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posted by あき at 18:52| 千葉 ☔| Comment(1) | TrackBack(0) | ストーリー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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